コープこうべ × 明石高専
店内デザインプロジェクト

2018.04 - 2019.03

Overview

-概要-

YORISOI 米田家

淡路島の中心に位置する洲本市本町商店街。7丁目商店街の角に築100年を越える古民家「米田邸」があった。この米田邸を改修し、寄り添いの場をつくる。

Purpose

-目的-

学生の視点から考える

今日の日本では、空き家問題、超高齢化社会という言葉を多く耳にするようになった。米田家ではこの2つの問題に向き合う。その中で現状と活用方法を学びたい。また、学生の立場から考え、プロジェクトに対する意見を発言することを目的とする。

Future

-今後の展望-

今後の課題が明確となっている。寄り添いの場と、ビジネスを両立しなければならないということだ。地域に愛され、地域住民の居場所となることはもちろん大事だが、それだけではいけない。建築を維持していくためにも、ビジネスの視点が必要なのだ。今後の会議の中でその問題についてより深く議論を進めたい。

チーム結成

2018.04

建築だけでなく空間デザインに興味を持つ学生3名に呼びかけ、4名のチームを結成した。こうして私を中心に明石高専建築学科の学生4名と、コープ魚住との協働によるプロジェクトが始動した。4月から年度内で完成の計画で動き出した。

コープの理念の講習

2018.05

コープ魚住の店長から1時間ほどコープこうべの経営理念について伺った。これにより生協がより私たちに身近なものに感じられた。売り上げを上げるだけでなく、地域課題解決に向けて近隣住民と協働でまちをつくり上げる。私たちはその一員であると自覚を持った。まさに学生が地域課題に目を向けるきっかけとなった。

コンセプトメイキング

2018.06

①親子で買い物を楽しめるお店

店内デザイン考えるうえでまずは誰を対象にするかを話し合った。お年寄りや親子、生産者、組合員など様々な意見が上がった。中でも全員が納得したのが親子だった。コープ魚住では以前に組合員から使わなくなったプラレールを集め、店内入り口付近に配置していた。その中で近くに住む子どもたちが集まり、複雑な家庭事情などで家に居ることが好きではない子どもがいることが明らかになった。また明石市では子育て家庭を支える地域づくりが課題とされていることがわかった。そんな中、家庭や地域における子育て機能の低下や子育て中の親の不安感、孤立感の解消に向けて、地域の身近なところで子育て相談や仲間づくりができる場づくりが進められている。そこで地域の若者からお年寄りまで幅広い地域住民が良く利用するスーパーマーケットもその一つに成り得るのではないかと考えた。私たちは親子をターゲットに絞り、親子で買い物を楽しめるお店をコンセプトとした。

②店内を空想のまちに

前回のプロジェクトの理念を踏まえた上で、まずはメンバーそれぞれが思う構想を述べた。①会話を誘うサインデザイン、②コト体験型トリックアートと万華鏡、③生産者の想いが売場にあふれる動画、④デザインで防災を伝えるアートの4つが候補に上がったが、店長曰くどれも実現可能とのことだったので、簡単なものから順に取り掛かることにした。また次の会議ではさらに細かく検討し、「空想のまち」を考えた。①地域の子どもたちが、お店で楽しみながら学べる、②床・壁面・天井を使って、魚の駅や肉の駅を演出し、子どもが一人でも買い物できる分かりやすさを実現、③通路に横断歩道や標識を設置し、トリックアートなどで遊び心も盛り込む、④商品説明や食育にとどまらず、防災教育なども検討、⑤できるだけ、店舗全体を彩ることができるサイズ・レベルを目指す、の5つが決定となった。

アンケート調査の実施

2018.07

Floor GuideとTrick Artの製作にあたり、コープ魚住の従業員33名を対象にアンケート調査を実施した。私たちの知らない従業員の声を聞いた。顧客とともに従業員の満足度も高めるデザインでありたいと考えた。以下の2点について伺った。

①お客様によく場所を尋ねられる商品は何ですか。

卵、牛乳、調味料、コーヒー、ココア、ミルク、パックのご飯、シャンプー、乾物、サンドウィッチ、お餅、炭酸飲料、お茶、うどん、砂糖、広告の商品

特に卵と牛乳の数がかなり多かった。入り口から離れていること、案内表示がされていないことが理由と考えられる。また広告の商品という回答もあったが、これは季節限定で新しい商品に入れ替わり場所が変わるため表示が難しい。このアンケートで出たものを優先的にデザインに反映する。

②お客様の案内をするときに困っていることがあれば教えてください。

・レイアウト変更後に商品を探すとき
・担当と異なる部門の商品を尋ねられたとき
・従業員さんでも場所がわからない時がある。
・お年寄りの方が多いので、英語の商品名が伝わりにくい。
・一度にたくさんの顧客に場所を尋ねられ、待たせてしまう。
・部門担当者に聞きに行かなければならない。

私たちの知らなかった意外に困っていることを確認できた。特に別の部門の商品は従業員であっても知らないことが多いことがわかった。またその部門の従業員を呼びに行くのに時間がかかり待たせてしまうことも多く問題に挙がっていた。これをFloor Guideで少しでも解決に導きたい。以上の通り意義のあるアンケートだったと考える。

具体内容の考案

2018.08

①Floor Guide

食材の名前を書いて床から什器にわたって導き、什器にその食材の豆知識を書く。子どもがカートを押しながら自然とその上を歩きたくなるようなものにし、買い物への興味を惹く。

②Shelf Panel

商品棚の端に取り付ける。客からの生の意見を見える化する。食材についての紹介を表示する。もしくはレビューを書く。取り付け方法が課題である。

③Top Panel

商品棚の上部に取り付ける。商品の位置を知らせるサインデザインとする。

④Top Wall

それぞれの場所や市場を思い起こさせるようなイラストを簡単に描く。しかし塗装方法が課題である。

⑤Furniture Panel

什器上に吊るす。生産者の写真など食材が作られる過程を紹介する。

⑥Trick Art

離れた位置から見ると床面に貼られた絵が立体的に見える。そこにあるだけで子どもの興味を引くようなものを考案。

その後の評価では、①に対しては生鮮商品は季節や特売に応じて陳列場所が変わるため、「トマト」のように個別商品名での案内は難しいこと、②に対してはフレーム装備はパネルの位置によって商品がおけなくなるような配置は難しいこと、⑤に対しては商品リサーチや生産者インタビューは、商品選定なども含め、時間がかかる可能性があることなどの問題点が挙げられた。また以上のこともあり床面に施す①と⑥から初めに取り掛かることが賢明であると判断した。

デザイン案の提案

2018.09

Trick ArtとFloor Guideのそれぞれのデザインチームに分担し、同時に進行することにした。これにより作業の効率化を図った。また製作にあたりそれぞれに役割を与えることで自覚と責任感を持たせることができた。2週間ほど検討してデザイン案を固めた。

①Floor Guide1(中央通路)

中央通路に青果売り場方向から惣菜売り場方向にかけて設置し誘導する。

②Floor Guide2(外周通路)

入り口から入ってレジまでの左回りの外周通路にフロアガイドを設置する。このFloor Guide1は最終的にコープ魚住側の予算の都合で実現させることができなかった。

③Trick Art

デザインは学生cが担当した。図10に示したA(衛生・生理用品)、C(菓子)、G(しょうゆ・ソース)、I(ビール類)の4箇所の売り場に配置する。

印刷会社との調整

2018.10

印刷会社と直接連絡をとって予算削減に向けて印刷方法を検討した。学生が企業の方と直接やり取りをする機会は少ないため、良い経験になった。メールなど文書で伝える難しさを実感した。さらに印刷会社の方に来ていただいて実際に検討を行った。実際の寸法のサンプルを製作して間隔や大きさが妥当か、また印刷方法は適切かなどを確認した。印刷データのトリムマークや間隔の規定が細かく、勉強になった。実際に顔を合わせて話すことで分かることが多いと感じた。

Trick Artの設置

2018.10

印刷会社からTrick Artが納品され、Floor Guideに先駆けて店内4箇所に設置した。データ提出から納品まではおよそ1ヶ月ほどかかった。設置は来店客の少ない夜の時間帯に行った。それほど時間はかからなかった。また課題としてそのままでは何なのか分かりにくいことが挙げられた。それを改善すべく、私たちは案内を天井から吊るし、目印を床に設置した。

Floor Guideの再考

2018.11

コープ魚住側の予算の関係で一度に店内全体にFloor Guideを配置するのは難しくなった。そのため計画を再考する必要があった。改善方法として以下の3案が挙げられた。

①投資額の削減

・全体の印刷個数を削減する(幅を少し広げる)。
・野菜・果物の線を短縮する。
・L字になっているところは、I字に変更する。

②分割実施

・外周の主動線と中央のサブ動線を2つの段階に分けて毎月少しずつ設置していく。

③別のアイデアを実施

・デザインを再検討し、低コストでできるものを考える。

企業において、目前で企画が中止されることは良くあることだと実感した。その中でも実施可能な範囲、レベルから手を付けるのも一つの手法であある。そこで私たちは②の分割実施を選択した。今年度はFloor Guide2は断念し、中売り場への誘導のためのFloor Guide1のみ配置することになった。その後は来年度下級生に引き継ぐ形をとることを検討している。

Floor Guideの設置

2018.12

Floor Guide1が納品された。しかし発注したものとは規格が少し異なるものが存在した。印刷会社に確認したところ、印刷会社内での伝達ミスであることがわかった。1週間後には新しいものが納品され設置した。以上のこともあり意外と時間がかかったため、より余分な時間を考慮して事前に準備しておくべきであった。時間と予算については何度も考えさせられる点である。

フィードバック

2018.12

YORISOI米田家のオープニングセレモニーが行われた。ロゴマークデザインに対する感謝状をいただいた。